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インプラント 秋葉原の大きな魅力

実際日本では他の教室からの研究計画を厳しく批判して却下すれば今度は自分のところ研究計画についてしっぺ返しを覚悟しなくてはならないのかも知れません。
とくに医学界にはタテ社会構造が強いようで、学閥というものがまだ多かれ少なかれ残っているように思われますし、各病院は大学別に系列化されているだけでなく、たとえば大学にいくつかの内科教室がある場合、教室別にも系列化されがちです。
この場合はハミルトン説のように必ずしもボスに従うというのでなく、若い医者たちが、いわば自己の安全と利益のために自らを進んで系列化していることの方が問題であるというべきでしょう。
もちろん、今のところ医者は売り手市場で、各病院が多数の優秀な医者を集めることは容易でないため、大学単位、教室単位で一括派遣を依頼せざるをえないという現実の条件も見逃がすわけにはいきませんが、いずれにしろ強固なタテ社会が構成されていることは明らかです。
このように強いタテ社会構造でかためられ、お互いに他の系列を尊重して侵さないという仁義が支配しているものですから、容赦のない内部批判によってプロフエ。
ション全体としての社会的責任を果そうとする西欧風の仕組みが有効に機能しないのは当然でしょう。
先端的な研究をしても、お互いにボロを外に出さないようにかばい合うべき仲間であるという伝統的なムラ意識が支配しているとしたら、真の同僚が形成されず、同僚審査委員会というようなものも所期の成果をあげにくいわけです。
同時に、これでは正しい意味でのプロフェッションも成立しがたいと思われます。
この種の審査会は一応、日常診療とは無関係で医学研究だけにかかわるわけです研究と診療が、これは医者患者関係についての基本的認識、プロフェッションとしての責任感のあらわれに外ならないことを忘れてはなりません。
欧米の病院では、「メディカルオディット」(医療監査)その他の名称で呼ばれる、日常の診療行為を自ら評価するシステムが存在することが多いようです。
またアメリカでは公費医療の普及に伴って、PsRoという評価システムの設立が行政的に強制されるに至りました。
これらの仕組みは、診療場面における同僚審査委員会と考えられないこともないでしょう。
研究と診療は一見全く別の営みのように見えますが、たとえば手術の際に新しい考えがひらめいて手術テクニックの一部を変更したり、薬物療法の場合に薬剤の量や服用するリズムを変えてみたりすることは、しばしばあることです。
時には思い切って新しい手術方法を工夫したり、ある薬剤を、厚生省が承認している適応以外の病気に用いてみるというようなことも日常的に行われます。
そのような絶えざる創意工夫の積み重ねによって、医学が進歩するのです。
したがって臨床医学の場合、研究と診療とは実際には分かちがたいものなのです。
といっても、日常的な小さい工夫までも一審査会にかけて許可をうるということは実際上非能率なことですが、従来の公認された診療の方法を相当大幅に変更することを意図する場合は、できるだけはっきりとケジメをつげて診療者としての立場から研究者としての姿勢に切りかえ、それとしての規制に服さなくてはならないと思います。
「ヘルシンキ宣言」でも、診療に結びついた研究と治療に関係のない純生物医学的な研究とに分けて、それぞれの倫理的ワク組みを設定しているのです。
このような第三者によるスクリニング(審査)の網の目がはりめぐらされると、悶P医モの時の学界の多数派的・常識的・平均的勢力のために天才的な研究が封殺される恐れがなくはありませんし、そのため人類が画期的な発見を見逃がし、取り返しのつかない損失をこうむる場合が絶対にないとはいえません。
しかし物理学や化学などの研究とは違って、かけがえのない、一回きりの存在としての人間を直接の研究対象とする医学の場合は、このような不利をある程度やむをえないこととして忍ばなくてはならないと思います。
そうでなければ、人類の存在そのものを危うくするような悲劇が起こらないという保証はないでしょう。
実際、新薬研究の場合のこの種の規制は、サリドマイドの悲劇の教訓に基づいて始まったといっていいのです。
もちろん一方では、より自由度の高い動物実験を精力的に駆使するなどして、人間における実験的試みに対する安全の予測性をできるだけ高めて「頑迷な」学界を揺り動かす努力をなすべきですが、実験の目標や方法があまりに先進的なため審査委員会がついにそれを理解できずに拒否した場合は、涙を飲んでこれに従うしかないでしょう。
とにかく、一直線に進めば目標に手っ取り早く到達することがきわめて明白であっても、人間が研究対象となる場合は、研究者自身には一見無駄に見えても、十分な時間おかげで、第三者の専門家(と社会と)を納得させるために、大きな廻り道をするだけの忍耐を必要とするでしょう。
それが、人間の科学としての医学研究のやむをえない宿命なのです。
すでにクロドペルナルは「医学倫理の原則は、その結果が科学的に大変興味があり、他の人の健康を救うのに役立つと考えられるものであっても、当人にいささかでも害になるような実験を決して行わないことである」といっているのです。
審査委員会やメディカルオディットは、プロフェッションの責任を果すためスモン事件の仕組みの一つにすぎません。
重要なのは医者社会と医学界全体が相互批判、相互牽制の精神に立って社会的責任を果そうとする基本姿勢です。
キノホルムによるスモンの裁判では企業と行政当局が被告席に座りましたが、訴訟に必要な診療録提出についての協力を求める必要があったためか、医者はそうなることを免れました。
日本でこのような悲惨な薬害を引き起こした理由の大きな部分は、本来アミバ赤痢に対して一日〇・五〇・六グラム、しかも一週間服用しては〇日間休薬するというような慎重な用い方をする定めであった薬の適応範囲をいろいろな腸の病気にひろげ、しかも一日量をニ三グラムに増し、連続して長期に服用したからであると考えられます。
そのような使い方を厚生省が承認し、製薬会社がキノホルムの添附文書にそのように記載したことの責任は重大です。
しかし、ある日、厚生省の薬務局長が局長室でタバコをふかしながらキノホルムの適応の拡大や使用方法の変更をふと思いついたわけではありません。
企業は、この薬の適応がひろがり用量が増せば利潤が増加しますから、もちろん喜んだには違いありませんが、自分勝手にそのようなことができるわけのものではありません。
立派な専門の医者が雑誌や学会で報告をしたから、国や企業がそれに飛びついたわけでしょう。
もちろん、国は薬の安全性を慎重に確認する義務がありますし、企業はもちろんのことです。
したがって国と企業の責任が問われるのは当然ですが、医者の方も全く責任がないとはいえないように思います。
そうはいっても、個の医者は国が許可し企業が指示した通りに使ったわけですから、実際にキノホルムを処方した一人一人の医者を責めるのは、いくらか気の毒な気がします。
むしろ責任を感じなくてはならないのは、日本の医学界全体ではないでしょうか。

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